TCDテーマのGENSENってどう?
ネットで良い口コミが多いけど、デメリットとかないの?
使っているユーザーの感想をききたい
そんな疑問に答えます。
TCDテーマのGENSENを使って感じた「デメリット」について紹介します。
GENSENで絞り込み検索機能のあるポータルサイト作ってみたんですが、あまり気に入らず今は別テーマにしてしまいました。
GESENのデモサイトのデザインはすごくオシャレだと思ったんですが、「機能的に満足できなかった」というのが正直な感想です。
本記事ではGENSENの「ちょっと使いづらいなと感じた点」「デメリット」と感じた点のレビューをシェアします。
【感想レビュー】TCDテーマGENSENのデメリット
TCDテーマGENSENを使ってみて、デメリットだなと感じた点のレビューです。
デメリット
- 絞り込み対象の投稿タイプは1つだけ
- 検索キーの上限が3個
- 日付検索ができない
- 選択オプションをチェックボックスで一覧表示できない
- 検索結果ページの内容をカスタマイズするオプションがない
- カスタムフィールドはサポート外
- 好きな場所に検索フォームを設置できない
- ページの表示スピードに満足できない
- デザインの自由度が低い
- 特別ライセンスの壁
- 外注先が限定される
- WordPressの標準エディターに100%対応していない
- 会員システム機能はない
それぞれ順番にを解説していきます
【デメリット】絞り込み対象の投稿タイプは1つだけ
絞り込み対象の投稿タイプはプリセットされている投稿のうち1つ選ぶ形式です。
プリセットされている投稿
- ブログ
- 紹介ページ
「ブログ」はWordPressの標準投稿、WordPress用語だとPostにあたります。「紹介ページ」はGENSEN有効時に自動的に作成されるカスタム投稿です。
絞り込み対象はブログか紹介ページ、どちら一個だけ。両方を選ぶことはできませんし、カスタム投稿を新規で追加しても検索対象に含めることはできません。
カスタム投稿でじゃんじゃんコンテツを作っても検索対象にすることができないのは不便だと感じました。
【デメリット】検索キーの上限が3個
検索キーは「3つ」と上限が決まっています。
「検索キー」について不動産サイトを例に解説します。上の画像だと、1つめのキーが「エリア」、2つ目が「間取り」、3つめが「こだわり条件」という構成です。
イメージしやすいよう表にまとめました↓
例:不動産サイトの検索キー
検索キー | 選択オプション |
---|---|
エリア | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、山梨県 |
間取り | 1K、1DK、1ルーム、2DK、2LDK、 |
こだわり条件 | 2階以上、ペット可、オートロック付き |
不動産サイトだと、「家賃」や「最寄り駅」、できれば「敷金・礼金の有無」なんかも付けたいですよね?残念ながらGENSENでは検索キーの上限が3個なので、これ以上増やすことができません。
どうしても家賃を含めたい場合は、登録済みのキーを1つ削るしか方法はありません。
検索キーの上限が3個なので、これ以上検索キーを追加できないのは不便だなと感じます。
【デメリット】日付検索ができない
GENSENの検索システムには「日付検索機能」はありません。
上記の画像はGENSENではなく、VK Filter Search Proというプラグインを使っているデモサイトです。旅行代理店をイメージしているサイトですが、ツアーを検索するのに日付検索を付けています。
GENSENでは日付を指定する検索機能はないので、同様の設定はできません。
つまり、日付検索が必要な以下のサイトを作ることができません。
日付検索が必要なサイト
- 航空券や旅行のツアーを検索する旅行サイト
- イベント情報を検索するポータルサイト
- 旅館・ホテルなどの宿泊施設
もちろん日付検索なしであれば作れますが、さすがに旅行会社のツアーで日付検索無しというのは、ちょっとおかしいですよね…
【デメリット】検索フォームを好きな場所に設置できない
GENSENの検索フォームはヘッダーに表示されます。ここだけです。
サイドバーや、固定ページなどに表示するオプションは用意されていません。
絞り込み検索プラグインだと好きな場所に検索フォームを設置できるタイプが多いのでかなりガッカリしました。
個人的にはメインビジュアル部分に簡易的なフォームを1つ。
固定ページに詳細な検索フォームを1つ。
下層ページのサイドバーにもフォームを設置したいと考えていたのですが、こういった設計はGENSENでは実現できませんでした。
【デメリット】選択オプションをチェックボックスで一覧表示できない
GENSENのヘッダーに表示される検索フォームの選択オプションは、上の画像の通り「プルダウン形式」です。
チェックボックスや、ラジオボタンに変更するオプションはありません。
僕がイメージしていたのは、以下の画像のようにチェックボックスで選択オプションを一覧表示させる仕様です↓
GENSENはヘッダー部分に1つだけしかフォームを設置できませんし、フォーム上ではチェックボックスをサポートしていません。
【デメリット】検索結果ページの内容を設定するオプションがない
検索結果のページって、ポータルサイトや不動産サイトでとっても重要なページです。
以下の画像はGENSENではないWordPressテーマで不動産サイトを作ったものです。検索結果には不動産のイメージ画像だけでなく、所在地や最寄り駅などを掲載しています。
GENSENは検索結果ページに表示させる内容を設定するオプションはありません。ちなみにGENSENの検索結果ページに表示されるのは以下の要素です。
GENSENの結果ページの内容
- タイトル
- 画像
- 記事先頭から文章の抜粋
GENSENには検索結果ページを自由にカスタマイズするオプションはありません。どうしても表示したい場合は、難易度が高いPHPテンプレートファイルの編集作業が必要になります。
検索結果ページはポータイルサイトで大事なパーツ。簡単に編集できるオプションがないのは残念です。
【デメリット】カスタムフィールドはサポート外
GENSENの絞り込み検索オプションは「カテゴリー」と「タグ」をキーにしています。カスタムフィールドを追加しても、検索キーにすることはできません。
また、GENSENに搭載されているキーワード検索は以下を対象としていますが、カスタムフィールドを含めるオプションは用意されていません。
キーワード検索対象
- 記事タイトル
- コンテンツ
- タグ
カスタムフィールドを検索キーに使えないのは仕方ないけど、キーワード検索の対象には含めたい。
【デメリット】ページの表示スピードに満足できない
自作したGENSENのページ読み込みスピードをGoogleの測定ツール「Google Page Speed Insights」で測定したのですが、ちょっと満足できる数値ではありませんでした。
「自分の設定が悪いのかな?」と思い、販売元のTCDが公開しているGENSENのデモサイトを何度か測定したことがあります。
TCDの開発者さんが最高の状態にチューニングしているだろう環境でもPSIスコアは62。グーグルの公式情報的に「改善の余地がある」という結果でした。
テーマ販売会社がチューニングした環境でも62。
高速化の専門知識がないと合格ラインを目指すのは大変そう…。
ページの読み込みスピードはSEO的に重要です。グーグルが検索順位を決める要因の1つだと公言しているからです。
以下はグーグル公式情報の抜粋です↓
ページの読み込み速度をモバイル検索のランキング要素に使用します
引用:Google検索セントラルブログ
読み込み速度これまでもランキング シグナルとして使用されていましたが、デスクトップ検索を対象としていました。そこで 2018 年 7 月より、ページの読み込み速度をモバイル検索のランキング要素として使用することになりました。
Web制作の仕事だと、SEOの知識のあるクライアントに会うことも日常です。そういったクライアントは「80以上の合格ラインにしてから納品して」と言ってくることがあります。なんなら100点が普通だと認識しているクライントもいるぐらいです。
納品条件に厳しい案件にGENSENを使うのは正直怖いなと思いました。
【デメリット】検索フォームの独自フックがない?
TCDテーマ全般の話なんですが、公式サイトで紹介しているデモサイトってメチャクチャ綺麗ですよね。デモサイトに憧れてまったく同じデザインにするのはそれほど難しくありません。
ですが、「ちょっとの編集」をするのにテンプレートファイル内のPHPファイルをガッツリ編集しないとダメなことがあります。
「WordPressテーマなんてそんなもんだ」と以前は思っていましたが、Snow Monkey、SWELL、Lightning G3など最近の汎用テーマはカスタマイズ用にフックが準備されています。
例えば有料テーマLightning G3ではカスタマイザー上にカスタマイズ用のフックが表示されます↓
テンプレートファイルを編集すると、仮に子テーマ環境を作っていてもテーマのアップデートの影響を受ける可能性があります。
フックでのカスタマイズならテーマのアップデートに影響なくサイトを運営できます。
GENSENの場合は「GENSEN フック」で検索してもそれらしき情報は見当たりません。テーマファイルのソースコードを眺めても検索フォームや検索結果の表示をカスタマイズするフックは見つかりませんでした。
もしかするとGENSENはカスタマイズ用のオリジナルのフックがないのかもしれませんね。
クライアントごとに独自カスタマイズをしたいWeb制作事業者とすると、不満な点です。
【デメリット】特別ライセンスの壁
TCDテーマには2つのライセンスがあります。
ライセンス
通常のライセンスは、購入者全員が同意するライセンスです。「〇〇はOKですけど、△な使い方はNGですよ」的な規約です。
この通常ライセンス規約の中に「サイト制作代行するなら特別ライセンスが必要です」と書いてあります。
以下、公TCD式サイトからの抜粋です↓
WordPressテーマTCDシリーズ利用規約【通常ライセンス】
引用:TCD公式サイト
第8条(制作代行に関する特則と違反)
1.利用者が当テーマを用いて第三者のためにサイトを有償で制作する行為を制作代行といいます。
2.利用者が当テーマを用いて制作代行を行う場合は、速やかに別に定める特別ライセンスに契約するものとします。
特別ライセンスはWeb制作事業者がサイト制作するさいに必須なんですが、価格がなんと30,000円。しかも契約は各テーマごと。
TCD特別ライセンス | |
---|---|
価格 | 30,000円(税込み価格) |
有効期限 | 3年間 |
備考 | 特別ライセンスはテーマごとに必要 |
例えばGENSENでサイト制作代行するならGENSENテーマ本体の39,800円と、特別ライセンス30,000円かかります。合計すると69,800円という計算です。
特別ライセンスはテーマごとに必要なので別テーマのHakuも制作代行するには、別途Hakuのテーマ代+特別ライセンスが必要という仕組みです。
WordPress有料テーマは販売会社ごとに利用規約が違います。SWELLやLightning G3などGPLライセンス形態のテーマは1つ購入するだけでサイト制作に無制限で使えます。そういったGPLのテーマと比較すると、なかなか予算的に厳しくなるなと感じます。
TCDのライセンス形態については次の記事で解説しています。
【デメリット】外注先が限定される
制作会社の立場ではなく、ユーザーとして自社のポータルサイトを作る場合についてです。GENSENでサイトを作るさい、何かしらの作業を外注する場合に外注会社が限定されるというデメリットがあります。
自社サイトを作る場合に特別ライセンスはいりませんが、外注を受ける側は特別ライセンスが必要です。外注先を探す場合には当然GENSENの特別ライセンスを持っている事業者に限られてしまいます。
「地元の制作会社に依頼したい」とか「知り合いのプログラマーに格安でお願いしたい」なんて希望があったとしても、取引相手が特別ライセンスを持っていないと受けてもらえません。
【デメリット】WordPress標準エディターに100%対応していない
WordPressの標準エディターはブロックエディターですが、GENSENはブロックエディターに100%対応しているテーマではありません。
GENSENではブロックエディター環境で本来使えるはずのカバーブロック全幅など基本機能が使えません。Classic Editorプラグインを有効化していないと、検索キーとして選択するカテゴリーオプションが編集ページに表示されません。
「ブロックエディターで運用したい」というクライアント案件では使えません。
【デメリット】会員による情報投稿機能は搭載されていない
GENSENの公式ページには次の記載があります↓
TCDテーマの圧倒的な機能が、あなたのウェブサイトをサポート
引用元:TCDテーマ「GENSEN」照会ページ
会員獲得に有効な保護ページ機能
「もしかして会員登録させるポータルサイトが作れる?」と期待感を持っていましたが、会員マイページやユーザーが情報を投稿するようなシステムはGENSENには搭載されていません。
WordPressの標準機能には投稿の公開オプションで「パスワードの保護」があります。
GENSENの「会員獲得に有効な保護ページ機能」は、WordPressの標準機能でアクセス制限したページ上に表示させるメッセージを調整する機能です↓
会員登録させる機能や、会員情報を管理する機能は付いていませんのでGENSENでポータルサイトを作るさいには、GENSENと相性の良いプラグインを探すか、PHPのテンプレートファイルを編集するといったカスタマイズが必要です。
GENSEN以外で絞り込み検索機能を搭載している国産テーマ
GENSEN以外に絞り込み検索機能が使えるテーマについてです。
国産で絞り込み検索が使えるWordPressテーマ
以下の有料テーマは国内の事業者が開発した絞り込み検索機能が搭載されているテーマです。
テーマ
- Diver
- Nishiki Pro
- THE THOR
上記の有料テーマを全て試したみましたが、絞り込み検索機能に関してはGENSENのほうが断然上だと感じました。
Diver、Nishiki Pro、THE THORの絞り込み検索機能は、「テーマに搭載されちる機能の1つ」といったレベル。テーマの「売り」ではありません。
GENSENは絞り込み検索機能がメインのテーマなので比較になりません。
【結論】専用プラグインを使ったほうが自由度が高い
GENSENを含めて色んなテーマを試しましたが、検索部分はプラグインを使ったほうが自由度が高いと思い、最近は以下の構成でポータルサイトを作っています。
構成
検索機能 | テーマ |
---|---|
VK Filter Search Proプラグイン | クライアントの要望のデザインに近いテーマ |
VK Filter Search Proプラグインで作成したデモサイトです↓
【比較】GENSENとVK Filter Search Proの違い
まずは簡単な比較です。
GENSEN | VK Filter Search Pro | |
---|---|---|
販売事業者 | 株式会社デザインプラス | 株式会社ベクトル |
リリース日 | 2017年8月 | 2021年4月 |
価格 | 39,800円(税込み価格) | 31,900円(税込み価格) |
特別ライセンス | 30,000円 (税込み価格) | なし |
検索フォームの位置 | ヘッダー | 好きな位置に設置できる |
フォームの数 | 1個 | 上限なし |
検索キーの上限 | 3個 | 上限なし |
日付検索 | ✕ | ○ |
カスタムフィールド | ✕ | ○ |
公式サイト | ダウンロードする | ダウンロードする |
【比較】仕様の違い
GENSENはWordPressテーマ。VK Filter Search Proは検索プラグインなので好きなテーマと組み合わせて使います。
VK Filter Search Proプラグインは、ブロックエディター上の好きな場所に検索フォームを作ることができます。GENSENのようにメインビジュアルに固定表示といった仕様ではありません。ヘッダー、サイドバー、固定ページなど好きな場所に設置できます。
場所だけでなく、仕様の異なるフォームを何個でも作れるのが特徴の1つです。
例えばトップページはプルダウンだけで簡易的なフォーム。下層ページには詳細検索させよう!なんてことが出来るプラグインです。
VK Filter Search Proの使い勝手は次の記事で解説しています。
【比較】ライセンスの違い
GENSEN | VK Filter Search Pro | |
---|---|---|
自分のサイト制作 | 制限なし | 制限なし |
クライアントのサイト制作 | 3万円増し | 制限なし |
GENSENは通常ライセンスと、制作業者向けに特別ライセンスがあります。自分で使う分には複数サイトで利用してもOkですが、受注制作する場合には別途3万円必要です。
VK Filter Search ProプラグインはGPLライセンスです。1つ購入するだけで自分のサイトだけでなく、クライアントサイトにも追加料金なしで使えます。
以下、公式サイトからの抜粋です↓
受託制作などの場合は別途費用が発生しますか?
引用:FAQページ
弊社の製品はすべて100%GPLを遵守しております。受託案件でも自由に利用いただいてかまいません。
GENSENはこんな人向け?
正直いって、僕はGENSENにハマりませんでした。
それでもGENSENの絞り込み検索自体は高性能なので、使ってみたい人も大勢いるかと思います。
GENSENが向いてそうなユーザー
以下に当てはまる人はGENSENが向いているかもしれません。
- 自社で運営するサイトを作りたい
- GENSENのデモサイトのデザインが大好き
- デザインのアレンジをする予定がない
- 機能のカスタマイズをする予定はない
- ページの表示スピードは多少遅くても構わない
自分で運営するサイトを作るなら特別ライセンスはいりません。GENSENのデモサイトのデザイン通りに作るなら、PHPテンプレートファイルを独自カスタマイズする必要もないので技術的に困難な点はありません。
デザインのアレンジは最小限。機能もGENSENの仕様をカスタマイズせずそのまま使いたい人ならGENSENは向いていると思います。
GENSENが向いていないユーザー
以下に当てはまる人は、GENSEN以外の選択肢を考えたほうが良いかもしれません。
- クライアントのサイトを作る予定の駆け出しエンジニア
- あまりプログラムスキルに自信がないけど、デザインに独自性を持たせたい人
- 不動産サイトなどで検索キーが4つ以上必要な人
- 日付検索が必須な人
- ページの表示スピードなど要求の厳しいクライアントの案件に対応する人
- カスタムフィールドを検索キーに利用したい人
Web制作事業者でクライアント案件でGENSENを検討している人は要注意です。
TCDのテーマは特別ライセンスが必要になります。クライアントは十分な予算を持っていないと採算が取れません。
「検索キーが4つ以上」「日付検索が必要」「複数のカスタム投稿を検索対象にしたい」「デザインにこだわりのあるクライントに使う」こいうったケースなら、自分のプログラムスキルでカスタマイズできるのかしっかり考えましょう。
自分でカスタマイズするのが難しそうだな…と不安なら、GENSEN以外の選択肢を検討するのがおすすめです。
まとめ
WordPressテーマTCDの「GENSEN」のレビューでした。
GENSENは絞り込み検索機能を搭載したテーマとしてはかなり優秀だと思いますが、2017年に発売された古いテーマ。WordPress5.0から正式されているグーテンベルグに100%対応しているとは言えません。
本文でも説明した通り、GENSENのデザイン・仕様を変更せずそのまま使いたい人にはおすすめのテーマ。自由にカスタマイズしたい人や、Web制作系の仕事をしている人でクライアントの要望通りのものを作ろうと思うなら別構成も考慮したほうが無難だというが正直な感想です。
別構成の一例
カスタマイズにこだわってポータルサイトを作るなら個人的には絞り込み検索プラグインとデザイン性が高いテーマを組み合わせるのがベストだと思います。