
TCDのテーマでクライアントのサイト制作したい…
テーマ購入したけど、複数サイトで使ってもいいの?
そんな疑問に答えます。
NANO、CURE、HAKU、GENSENなど、ビジネス用途のWordPressテーマを販売しているTCD。
Webサイト制作事業者がクライアントのサイトを作るさいに重要なライセンスについて解説します。TCD公式サイト上には「ライセンス違反者には罰金6万円」の記載がありますよね?
「違反ってなんだ?」って気になります。
本記事ではサイト制作事業者向けに、TCDテーマライセンスの見落としがちなポイントについて説明します。
TCDテーマで受注制作するには「特別ライセンス」が必要

Web制作事業者がクライアントのサイトを作成する「受注制作時のライセンス」についてです。
TCDには2つのライセンスあります。結論を先に書くと、Web制作事業者は個人・法人といった事業形態を問わず、「特別ライセンスが必要」になります。
2つのライセンス

まずは2種類のライセンスについて解説します
【TCD】通常ライセンス
通常ライセンスはいわゆる利用規約です。TCDのテーマ購入時に同意するライセンスとなっており、TCDテーマ全利用ユーザーが同意している内容です。
「テーマを購入する=通常ライセンスに同意する」を意味します。
利用者、利用条件、禁止事項、保証、制作代行に関する内容などを網羅しています。

制作事業者として特にチェックすべきは、第8条の制作代行に関する特則と違反です。
第8条 制作代行に関する特則と違反
- 利用者が当テーマを用いて第三者のためにサイトを有償で制作する行為を制作代行といいます。
- 利用者が当テーマを用いて制作代行を行う場合は、速やかに別に定める特別ライセンスに契約するものとします。
- 利用者が特別ライセンスに契約しないまま制作代行を行っている、または行っていると推定される場合、当社は、当利用者に対し警告を与えるとともに当テーマの使用の差し止めを請求することができるものとし、利用者は速やかに当該請求に従うものとします。
- 利用者が特別ライセンスに契約しないまま制作代行を行っている、または行っていると推定される場合、当社は、当該利用者に対するサポート業務を停止することができるものとします。
- 利用者が特別ライセンスに契約しないまま制作代行を行っていて、当社からの警告にも従わない場合、当該利用者には、別に定める違約金を支払う義務が生じるものとします。
- 利用者は、当社から制作代行に関する警告を受けた場合でそれが事実と異なるときは、速やかにその事実を当社に報告し、当テーマを用いて制作しているサイトが自己所有サイトであることを証明するものとします。
- あるテーマについて制作代行に用いていることが認められた利用者については、当該利用者が購入した他のテーマについても制作代行に用いているものと推定します。但しそのテーマを使用しているサイトが明らかに当該利用者の自己所有サイトである場合はこの限りではありません。
- 前項の推定が事実と異なる場合、当該利用者は、当社に対し相応の証拠を提示して異議を申し立てることができるものとします。
- 事業として制作代行を行っていることが明らかな利用者が一つまたは複数のテーマを購入している場合、当社は、当該利用者に対して当テーマを使用しているサイトのURLの提示を請求することができるものとします。提示がない場合は、当社は、当該利用者に対するサポートを停止することができるものとします。
引用:WordPressテーマTCDシリーズ利用規約【特別ライセンス】
第8条の第2項に明記してあるとおり「制作代行する場合には特別ライセンス」が必要になります。特別ライセンスがない状態で制作代行をすると「罰金ですよ」とも明記してあります。
ただし第三者のサイトを制作代行する場合に限るので、自社で運営するサイトを複数作る場合には当てはまりません。

あくまでクライアントのサイトを作る場合に限り特別ライセンスが必要になります。
【TCD】特別ライセンス
第三者のWebサイトを受注制作するさいに必要なTCDの特別ライセンスについて解説します。
特別ライセンスの概要
- 価格:30,000円
- 有効期限:証明書発行から3年間
- 契約単位:テーマごと
- 審査:あり
特別ライセンスはテーマごとの契約、価格は30,000円で3年間の期限付きです。この特別ライセンスの料金はテーマとは別払いです。
【要注意】こんな場合でも特別ライセンス契約が必要
見落としがちな特別ライセンスの注意点です。

以下のような場合でも特別ライセンスが必要です。
クライアントがTCDテーマを購入済みの場合
クライアントがTCDテーマを購入済みで、そのテーマでサイトを制作して欲しいという依頼でも特別ライセンスは必要になります。
クライアントだけでなく、サイト制作事業者が購入している場合も特別ライセンスが必要です。
想定されるケース
- クライントがテーマを購入している
- サイト制作事業者がテーマを購入している
営業用にデモサイトを作る場合
クライントの提案用に「TCDテーマでデモサイトを事前に作っておきたい」といった場合も特別ライセンスが必要です。
個人的にはデモサイトを作っておいて、クライアントが正式にサイト制作の発注をしてくれたタイミングで特別ライセンスに切り替えできたらいいのにと思っていましたが、これも完全にNGです。

公式サイトにも明記してあります↓
Q4. 購入したテーマを使用してデモサイトを作成しましたが、まだ実際には制作代行を行っていません
TCD:ライセンスについてよくあるご質問
A4. 特別ライセンスの対象は、制作代行と制作代行に関わる一切の行為です。デモサイトの作成は、制作代行のための営業行為となりますので、クライアントにご提案する時点で特別ライセンスの取得が必要です。なお、ご提案後に弊社テーマの採用・不採用に関わらず、特別ライセンスは必要となります。
お金に余裕のあるサイト制作事業者なら特別ライセンスを事前に契約しておけるでしょうが、フリーランスの人だとクライアントに注文してもらえるか不明な状態で特別ライセンスは購入しずらいと感じます。
公開してあるサイトの修正作業
クライアントがTCDで自作したサイトを運営している場合を例にします。保守契約のないクライアントで、部分的な修正作業を依頼された場合でも特別ライセンスが必要になります。
例えば、TCDテーマと関係のない作業であっても特別ライセンスが必要というのがTCD側の見解です。
- TCDを親テーマ、独自に子テーマを有効化した場合の独自カスタマイズ
- プラグインの追加
ツイッター上で直接TCDに確認したユーザーさんのツイートを紹介します。
いやー本当なの?って思っちゃいますね。

TCDのライセンスは想像以上に厳しい….
特別ライセンス保有事業者はTCDサイトに掲載される
特別ライセンス契約をするとTCDサイト内に掲載されます。
テーマごとに契約している事業者名が表示されていますが、ほとんど法人です。なかなかフリーランスで特別ライセンス契約するのは勇気がいりますね。
TCDはちょっとした修正の依頼についても特別ライセンスが必要なので、自分が発注する場合はこのリストにある事業者に見積もりを依頼することになります。
TCD以外のWordPress有料テーマのライセンスは?


TCDってライセンスが厳しい…
有料テーマって、みんな同じなの?
そんな疑問に答えます。
じつはWordPressテーマは、販売している事業者ごとにライセンス形態がぜんぜん違います。有料テーマの中には1つ購入すれば、クライアントのサイト制作を含めて自由に使い回しできるものもあります。

TCDテーマ以外で、使いまわしできるサイト制作向けのWordPress有料テーマを紹介します。
おすすめテーマ
【受注制作もOK】複数サイト制作に使えるテーマ「SWELL」

SWELL(スウェル)は2019年3月にリリースされた比較的新しめのテーマ。日本人エンジニアが開発したテーマで現在は法人として販売している国産のテーマです。
使いまわし可能なライセンス
SWELLは1つ購入するだけで複数サイトで使いまわしOKなライセンスです。クライアント案件でサイト制作をする場合にもTCDのような特別ライセンスはありません。
1つ購入すれば自社サイトもクライアントサイトも作り放題なライセンスです。
SWELLのライセンス概要
ライセンス | 制作できるサイト数 |
---|---|
自社サイト | 制限なし |
クライアント案件 | 制限なし |
制作禁止のジャンル | 制限なし |

SWELLのライセンス形態は次の記事で詳しく解説しています。

どんなデザインのサイトが制作できるの?
SWELLはデザインの自由度がものすごく高いテーマです。一般的なコーポレート、飲食系、エステ、整体院、医療系、和風テイスト、オウンドメディアなどあらゆるジャンルに対応するオールラウンドテーマ。
TCDと比較するとSWELLは知名度が低いですが、ライセンスは超お得。

SWELLとTCDテーマの違いは次の記事で解説しています。

すでにSWELLを購入済みの僕はコーポーレートサイトなら、まずはSWELLで制作することがファーストチョイス。とにかく自由度が高いのでどんなデザインでも作れるのが強みです。
アップデート頻度も非常に高く、ページの読み込みスピードやUIの向上、新機能の追加など現在も進化中のテーマ。

個人的にここ数年でナンバー1のWordPressテーマです。
【受注制作もOK】複数サイト制作に使えるテーマ「Lightning G3」

企業サイトの定番Lightning。Lightning G3はそのLightningの有料バージョンです。
使いまわし可能なライセンス
Lightning G3は受注制作でも使い回し可能なライセンスです。
Lightning G3ライセンスの概要
ライセンス | 制限の有無 |
---|---|
自社サイト | 制限なし |
クライアント案件 | 制限なし |
制作禁止のジャンル | 制限なし |

Lightning G3のライセンスの詳細は次の記事で解説しています。

どんなデザインのサイトが制作できるの?
Lightning G3はコーポレート制作に特化した有料テーマです。ビジネス系のサイト制作に必要な標準機能の他、拡張デザインパーツを別途販売しています。

G3ユーザー向けに提供しているデザインパーツ「Evergreen」を使ったサイトは次の記事で紹介しています。

FAQ

TCDテーマでの受注制作時に関連するFAQです。
クライアントがテーマを購入していても、特別ライセンスが必要ですか?
必要です。
クライアントが構築したサイトはTCDテーマを使っています。部分的な修正作業を依頼されたのですが、特別ライセンスは必要ですか?
必要です。
まとめ
TCDテーマのライセンスについてでした。
サイトの制作事業者は第三者のサイトをTCDテーマで制作する場合に、特別ライセンスが必要です。
特別ライセンス
- 価格:30,000円
- 有効期限:3年
- 備考:テーマ単位の契約
新規サイト制作時以外にも以下のような場合に特別ライセンスが必要です。
特別ライセンスが必要なケース
- 営業用のデモサイトを作る場合
- クライアントがTCDテーマを購入している場合
- TCDテーマを有効化しているサイトの修正作業を行う場合

ライセンスはしっかり守って制作事業をしましょう!
